第21回日本インテリア学会大会-報告
2009年10月24日・25日
金沢学院大学

日本インテリア学会第 21 回大会/金沢/報告







見学会
10月24日(土)見学会風景
見学会
10月24日(土)見学会風景
シンポジウム
10月24日(土) シンポジウム風景
大会
10月25日(日) 大会風景
◆見学会・研究発表     西山紀子(京都橘大学)

10 月 24 日 ( 土 ) 〜 25 日(日)、日本インテリア学会第 21 回大会が金沢で開催されました。

 初日は理事会、見学会、シンポジウム、懇親会が開催され、 2 日目は終日研究発表が行われました。ここで私が参加した見学会と研究発表を 報告し ます。見学会では、金沢城菱櫓・五十間長屋および河北門工事現場〜金沢 21 世紀美術館〜尾山神社の 3 か所をたずねました。新たに復元された金沢城菱櫓・五十間長屋では、釘を使わずに凸凹の 仕口 を組み合わせることによって木材を接合する伝統的な工法が忠実に再現されており、 江戸時代 の高い技術を知ることができました。

 金沢 21 世紀美術館では、 建設 当時現場管理者であった吉村寿博氏が説明をしてくださいました。この美術館の特徴であるガラスのサークル状 外壁 について、計画、構造、施工など技術面からの解説を受けることができたことは特に貴重な機会を得たと考えています。残念ながら時間の都合で尾山神社は神門のみを見学にするにとどまりました。

 金沢学院大学での 研究発表では、 48 の論文と 7 つのパネルによる発表がなされました。 併設した学生の卒業作品展で 29 作品の展示がありました。 住まい方やライフスタイルの多様化を反映した研究が多く、インテリア空間の現状が明らかになり、また今後の課題が次々と浮かび上がってきたように思いました。特に制度発足以来 25 年余りを経たインテリアコーディネーターの職能について行われた検討は、時期を得て、その必要性を痛感しました。どの発表会場でも盛んな質疑が行われ、充実した内容でありました。

私は第 9 回大会以来 12 年ぶりに金沢を訪れましたが、正直なところその変わり様に驚きました。加賀百万石の城下町に新しい息吹を覚えます。

大会を運営して下さった役員の皆様に心より感謝申し上げます。

◆シンホジウム

 小宮容一(芦屋大学)

  10 月 24 日 pm4:00 より、金沢ニューグランドホテルで記念シンポジウムが開催された。テーマは「都市文化におけるエクステリアとインテリア」で、コーディネーターが金沢大学 宮下孝晴教授、パネリストは金沢美術工芸大学 浅野隆教授、茶菓工房太郎代表 村上太郎、明治大学 宮下芳明准教授の3名。宮下孝晴教授から、ヨーロッパの都市、特に城郭都市は都市そのものがインテリアであり、広場もカフェも住宅内のように人々は使用しているとの指摘があった。浅野教授からは、金沢の路線バスとタクシーのニューデザインの提案があり、デザインにおいて「歴史と未来」が大切であるとした。村上氏は工房として大切にしていることは「商品」「パッケージ」「店」「サービス」であるとした。宮下芳明准教授からは、今、 VR( 仮想現実感 ) から更に進んで、 AR( 拡張現実感「コンピュータ世界と現実世界の融合」 ) となって来ていることを映像で示された。

私見であるが、なかなか噛み合ない3パネリストの発表も、それぞれには尤もであった。インテリア学を専攻する私からすると、宮下孝晴教授の指摘の「都市のインテリア」と宮下芳明准教授の「拡張現実感」を参考として、建築内部というインテリアから出て、エクステリアをもインテリアとする「拡張インテリア感」が次のインテリア学の課題かと思わせるシンポジュウムであった。